新しい PC を購入した知人から、「ウイルス対策ソフトは何を買えば良いのか?」とよく質問されます。しかし、Windows 10 と Windows 11 には、はじめから「Windows Defender」というウイルス対策ソフトが搭載されています。
PC の使い方によっては、この Windows Defender だけで十分に安全を確保できます。
今回は、「どのようなユーザーなら Windows Defender で大丈夫なのか? 逆に、市販のウイルス対策ソフトが必要なのはどのようなユーザーなのか?」というテーマでブログを書いてみます。
目次
Windows Defender と市販のセキュリティソフト
国内外を問わず、セキュリティ対策ソフトを導入せずに Windows PC を利用しているユーザーは今もなお多く、ウイルス感染やその他のトラブルに見舞われるケースが後を絶ちません。
こうしたマルウェア被害を少しでも軽減しようと、Microsoft が標準搭載したのが「Windows Defender」です。
しかし、Windows Defender が初めから入っているからといって、市販のセキュリティソフトが不要とは限りません。やはり、市販のセキュリティソフトには優れた点が多くあります。
以下の項目をもとに、Windows Defender がどのようなユーザーに向いているのかを説明します。
Windows Defender とは?
Windows Defender は、主に「マルウェア(ウイルスなど)対策・スパイウェア対策」の機能を中心とし、パソコンの最低限の安全性を確保するために Windows 8 以降、OS に標準搭載されるようになった Microsoft 純正のセキュリティ対策ソフトです。
もともとは、Microsoft が 2004年〜2005年ごろにスパイウェアやウイルス対策ソフトメーカー(GIANT Company Software など)を買収し、そのノウハウをもとに開発されたセキュリティソフトが Windows Defender です。
Windows Defender の性能
デバイスへの脅威を監視して、スキャンを実行し、最新の脅威を検出するための更新プログラムを入手します (Windows を S モードで実行している場合、いくつかのオプションは使用できません)。
サインイン オプションとアカウント設定にアクセスします。Windows Hello や動的ロックなどが含まれます。
ファイアウォールの設定を管理し、ネットワークとインターネット接続の状態を監視します。
危険性のあるアプリ、ファイル、サイト、ダウンロードからデバイスを保護できるように、Microsoft Defender SmartScreen の設定を更新します。 Exploit Protection が提供され、デバイスの保護設定をカスタマイズできます。
組み込みのセキュリティ オプションを確認して、悪意のあるソフトウェアによる攻撃からデバイスを保護します。
デバイスのパフォーマンスの正常性に関するステータス情報を確認し、デバイスをクリーンで Windows の最新バージョンの状態に保ちます。
お子様のオンライン アクティビティと家庭内のデバイスを追跡します。
様々な市販ソフトと Defender を比べたデータ
紹介するデータは、「AV-Comparatives」という組織が世界規模でセキュリティソフトを正式に調査し、その結果をグラフ化したものです。
AV-Comparatives とは
AV-Comparatives は、PC のウイルス対策ソフトやモバイルセキュリティソフトが、提供元の仕様どおりに動作するかを検証する世界的な第三者機関です。世界中のテスターや複数の学術機関と連携し、統計データを収集・分析しています。
AV-Comparatives で高評価を得たセキュリティソフトは、「世界的に認められたセキュリティソフト」と言えるでしょう。
このグラフの見方
- 赤はウイルスを防げなかった部分、黄色はユーザーが自らウイルスを招いてしまい、防御できなかった部分を示しています。グレーの部分は、ウイルスをしっかりシャットアウトできた部分です。グレーの領域が多いほど、優秀なセキュリティソフトと言えます。
- オレンジの折れ線グラフは偽陽性(ぎようせい)を表しています。偽陽性とは、本来は陰性であるものを誤って陽性と判断することを指します。つまり、ウイルスではなく安全なものまで誤検出してしまう回数を示しています。
- Microsoft の部分が Windows Defender です。
AV-Comparatives の計測グラフは定期的に更新されるため、評価は変動します。
これまで評価が低かったセキュリティソフトがシステムアップデートにより急に評価が上がることもあります。もちろん、その逆もあり得ます。
このグラフは、キャプチャ時点での計測結果を示したものです。
AV-Comparatives の計測結果から見る Defender の性能
Windows 10 / 11 の Defender は「Microsoft」の部分に該当します。数ヶ月分のデータを追ってみると、全体的に安定しており、セキュリティ性能もなかなか優秀です。
データ上では、市販のセキュリティソフトと比べても見劣りしない印象を受けます。
AV-Comparatives の計測グラフは定期的に更新されますが、Defender の結果を見ると、多くが「ユーザーが自らウイルスを招いて感染する」パターンであることがわかります。
Defender はセルフ管理に近いセキュリティソフト
Defender はセキュリティ性能自体は優秀ですが、市販のセキュリティソフトと比べると、機能がそれほど充実していない点が欠点として挙げられます。
例えば、Defender には メールセキュリティ・個人情報保護・ネットバンキング保護 など、市販のセキュリティソフトでは一般的に備わっている機能が不足しています。
また、Defender はバックグラウンドで自動的にウイルスチェックを行っていますが、細かい部分まで手が届くようなセキュリティソフトではなく、セルフチェック・セルフ管理 に近い印象です。
そのため、「ユーザーが自らウイルスを招いて感染する」ケースが多いのではないでしょうか。
Defender は、利用者の使い方によって適性が分かれるセキュリティソフトと言えるかもしれません。
市販のセキュリティソフトについて
Trend Micro の代表的なセキュリティソフトとして、よく知られているのが「ウイルスバスター」です。悩んだら「ウイルスバスター」を入れておけば間違いありません。
個人的には、「ESET(イーセット)」の動作が非常に軽く、更新頻度も高いため好印象を持っています。
Windows Defender の評価
Windows Defender の評価
AV-Comparatives のデータを見てもわかる通り、Defender は「無料」であることを考えれば、なかなか優秀なセキュリティソフトです。ただし、ウイルス定義の更新は若干遅い傾向が見受けられます。
前述のとおり、Defender は他の市販セキュリティソフトと比べて、ユーザーの知識に依存する部分が大きく、機能面でも必要最低限のものにとどまっています。
また、多くの市販セキュリティソフトには電話サポートがあり、「ウイルスに感染したかもしれない」「対処方法を知りたい」といった際に頼りになります。しかし、Defender にはそういったサポートが一切ありません。
市販のセキュリティソフトは、セキュリティ対策を専門とする企業によって開発・提供されているため、そのサポート体制や機能面で優れているのは当然と言えるでしょう。Defender を市販ソフトと同じ基準で比較すること自体、ややナンセンスかもしれません。
Windows のセキュリティは公式ブログでチェックできる
Defender を含む Windows 10 / 11 のセキュリティ情報については、日本の Microsoft セキュリティチームが定期的にブログを配信しており、Defender の性能の変化を日々確認することができます。
Windows Defender はどんな人向け?
以下のような方は、市販のセキュリティソフトの導入を検討したほうが良いでしょう。
- パソコンを仕事で使用する方
- 個人情報を多く扱う方
- メールの送受信やネットショッピングを頻繁に行う方
- Defender だけではセキュリティ面で不安を感じる方
- トラブル時の手厚いサポート(電話や遠隔サポートなど)を受けたい方
市販のセキュリティソフトと Windows Defender を比較するのは、専門のセキュリティ企業が提供する製品と、OS に標準搭載された無料ソフトを比べるようなものです。それぞれの役割を理解し、用途に応じた選択をすることが重要です。
Defender は他のセキュリティソフトと共存できる
通常、Windows パソコンには複数のセキュリティソフトを同時にインストールすることはできません。しかし、Windows Defender は例外で、他のセキュリティソフトを導入しても 不具合を起こすことなく共存できる唯一のセキュリティソフト です。
筆者は ESET を利用していますが、画像のとおり、ESET が稼働している状態でも Windows Defender が同時に存在し、不具合が発生することはありません。
Windows Defender は、基本的に市販のセキュリティソフトが PC にインストールされると自動的に無効になります。そのため、事前にアンインストールする必要がなく、他のセキュリティソフトと共存することが可能です。
おすすめの市販セキュリティソフト【2025年版】
どのセキュリティソフトを選べばよいかわからない場合は、日本で圧倒的な知名度を誇る「ウイルスバスター」を選んでおけば間違いありません。
あとがき
Windows Defender は、一般的なパソコン利用において問題のない基本性能を備えています。もはや無料のセキュリティソフトは Defender に勝てないのではないでしょうか。
自分の PC の使い方を考え、市販のセキュリティソフトが本当に必要かどうかを判断しましょう。特に必要がなさそうであれば、わざわざ有料のセキュリティソフトを導入せずとも Defender だけで十分かもしれません。
しかし、特に PC を仕事で使用する場合は、メールやファイルのやり取りが頻繁に発生し、外部との接触機会が多くなります。そのため、自分だけでなく相手の安全も考慮する必要があります。
そうした点を踏まえると、有料のセキュリティソフトを導入したほうが安心だと思います。
今回は、「どのようなユーザーにとって Windows Defender で十分なのか、市販のウイルス対策ソフトが必要なのはどのようなユーザーなのか?」という内容でブログを書いてみました。