Microsoft Office は、仕事での標準的なアプリであり、特に Word や Excel は、パソコンを使って業務を行う上で必須のアプリケーションです。
最近、「家族のパソコンにも Office を入れたい」と思っていたのですが、Microsoft 純正の Office は価格が高く、用途や使用頻度を考えると「非常にもったいない」と感じました。
たとえば、Word / Excel / PowerPoint が含まれる Office Home 2024 の価格は 3 万円台と…かなり高額です。
そこで、正規版ではない他社製の Office 互換ソフトを試してみることにしました。
今回購入したのは、格安の Office 互換ソフト「WPS Office 2(キングソフト)」。正規の Office よりも圧倒的な安価で購入できるのが魅力です。
実際に使ってみたところ、レイアウトは洗練されており、互換性もなかなか優れているという結果に。
今回は「キングソフトの WPS Office 2 2026 は純正 Office の代替ソフトになるのか? 実際に購入してしばらく使って互換検証してみた感想」を紹介します。
目次
キングソフト「WPS Office 2」とは
キングソフト「WPS Office」とは?
「WPS Office(ダブルピーエス オフィス)」 とは、Office 互換ソフトの老舗「キングソフト」 が提供する、Microsoft Office の互換ソフト です。
新しいパソコンを購入した際に、試用版があらかじめインストールされていることがあるため、見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。旧名は「キングソフト オフィス」だったため、その名前でご存知の方もいるかもしれません。
2025年7月に、新バージョンの「WPS Office 2 2026」がリリースされて、最新の Office にも対応しており、代替ソフトの中では最も互換性に優れた製品となっています。
また、WPS Office は、Microsoft Office と同様に、含まれるソフトの種類によって価格が異なります。
- Writer(ライター)= Word と互換
- Spreadsheet(スプレッドシート)= Excel と互換
- Presentation(プレゼンテーション)= PowerPoint と互換
このように、それぞれのソフトが Microsoft Office の主要アプリケーションと互換性を持っています。
また、すべての WPS Office 製品には、PDF の閲覧が可能な「WPS PDF」が付属しています。これは「Adobe Reader」と同等の便利なソフトで、お得感があります。
WPS Office は含まれるソフト内容によって価格が異なる
Word(文書作成)と Excel(表計算)の代わりとなる 2 つのソフトが含まれた「WPS Office 2 Personal 2026」。
PowerPoint の代わりとなるソフトが含まれた「WPS Office 2 Standard 2026」。コストパフォーマンスを考えると、こちらが一番おすすめできます。
さらに、PDF を編集できるソフトが含まれた「WPS Office 2 Complete 2026」。
2025年7月に WPS Office 2 の最新 2026 年版がリリースされました。常に正規の Office との互換性を保つよう、定期的に更新されているということですね。
はてさて、その性能はいかに?
まずは「WPS Office 2」をパソコンへインストール
WPS Office 2 は、2026 版からインストール方法が改定され、正規 Office と同じようにアカウント登録制となりました。
キングソフトユーザーセンターのアカウントに、購入した WPS Office のシリアル番号を紐づけることで利用可能になります。
インストール手順については、以下の別記事で詳しく紹介していますので、参考にしてインストールしてください。
WPS Office は 2026 版から、1 つのライセンスで PC 2 台までインストールできるようになりました。ただし、利用できるユーザーは 1 人のみです。
そのため「自分以外の家族の PC にインストールする」といった使い方はできません。あくまでも「自分が使う PC 2 台までインストール可能」というルールです。
WPS Office 2 が純正 Office の代わりになるか実際に検証
検証①:WPS Writer が Word の代わりになるのか?
Microsoft 純正の Word 2024 で新規テンプレートから作成した docx ファイルを、WPS Writer で開いてみました。どれほど正規版に近い互換性を実現できているのかを検証しました。
見出し付きの一般的な文書ですが、レイアウトは全く問題なく、フォントなどの細かい部分も正確に表示できています。
通常の文書作成における互換性は、まったく問題ありません。
表を使った書類も互換性はバッチリで、かなり正確に表示されています。このような簡単な文書や表であれば、WPS Writer で全く不足はありません。すごいですね。
カード型レイアウトを作成したファイルを開いてみました。
カードレイアウトやフォント、トンボの位置などは全く問題ありません。ただし、1 点だけ不具合が見られました。
Word 2024 では画像の明るさを調整して色味を少し薄めに設定していましたが、WPS Writer ではその調整が反映されず「素の状態」で表示されます。
どうやら WPS Writer では、Word で設定した画像調整が効かないようです。
もちろん Writer 側で再度調整を行うことは可能ですが、その部分だけ互換性がないため注意が必要です。
もっとも、Word 上で画像をレタッチする機会はそれほど多くないと思うので、個人的には大きな問題ではありません。
縦書きの互換性も問題ありません。
検証②:WPS Spreadsheets が Excel の代わりになるのか?
Microsoft 純正の Excel 2024 で新規テンプレートから作成した xlsx ファイルを、WPS Spreadsheets で開き、互換性をチェックしてみました。
Excel 2024 で作成された請求書を開いてみました。
表レイアウトやフォントに全く問題はなく、数値を入力すると合計が自動計算される部分も正常に動作しました。セルの保護についても、しっかりと互換性があります。
簡単な表計算であれば互換性はバッチリです。
僕はこのような簡単な表計算でしか Excel を利用しないので、WPS Spreadsheets でも全く問題なく使えることが分かりました。
多少、表示されるメニューのデザインや項目の並びに違いはありますが、Excel で設定したドロップダウンボタンは WPS Spreadsheets でも問題なく動作します。任意の数値入力項目も同じなので許容範囲といえます。
セルの幅などのレイアウトも完全に互換しており、非常に良い仕上がりです。
WPS Office では、2026 版以前のバージョンでは折れ線グラフを正しく再現できませんでしたが、この 2026 版からはしっかり互換対応するようになりました。
正規の Office を研究し、日々互換性を高めていることが伝わってきます。
ここにはありませんが、棒グラフや円グラフの互換性についても、問題はありませんでした。
WPS Spreadsheets は一応 VBA に対応しており、簡単なマクロであれば動作させることも可能です。しかし、何が動作して何が動作しないのか予測が難しいようです。
そのため、購入前に「マクロはほぼ使えない」という前提を理解しておく必要があります。
検証③:WPS Presentation が PowerPoint の代わりになるのか?
Microsoft 純正の PowerPoint 2024 で新規テンプレートから作成した pptx ファイルを、WPS Presentation で開き、互換性をチェックしてみました。
ごく一般的なレイアウトであれば、まったく問題なく安心して使えます。スライドのページも正しく反映されています。
ビジネス用のフレームワーク図も忠実に反映されています。
もしかすると、WPS Presentation が最も互換性が高いかもしれません。
ポスターやチラシのデザインを開いてみました。
正直、「これはさすがに複雑すぎて無理だろう」と思っていたのですが、かなり忠実に反映されており、驚きました。
WPS Presentation は、ビジネス用途でも十分に使えると感じます。PowerPoint の代わりとしても問題なく務められる互換性だと思いました。
WPS Office 2 2026 のツールバー比較
WPS Office 2 2026 のツールバーは、本家とほぼ同じ見た目と機能を備えており、わかりやすいレイアウトで使い勝手も良好です。
WPS Writer のツールバー比較
WPS Spreadsheets のツールバー比較
WPS Presentation ツールバー比較
もちろん文書や表の PDF 保存もできます!
WPS Office 2 は文章や表をダイレクトに PDF 保存することができます。
WPS Office 2 はツールバーに「PDF 保存」アイコンが用意されています。
ツールバーから直接 PDF ファイルに変換して保存ができるのはかなり便利です。
純正の Office はファイル保存や PDF 保存は、ファイルタブを経由してダラダラと保存方法を選択させる仕様なので、保存関連の UI は圧倒的に WPS Office 2 の方が優れています。
詳しい PDF 保存方法は、KINGSOFT サポートの公式サイトに掲載されています。
WPS Office 2 その他の特長・便利な機能
純正 Office と同じ日本語の基本フォント11書体が使える
純正の Microsoft Office をインストールすると利用できるようになる「HG フォント 11書体」が WPS Office 2 でも利用できます。
教科書体や創英角ポップ体とか Word を利用する時によく使いますよね。
純正 Office と同じフォントが使えるということは、Word で作成されたファイルを WPS Office 2 で編集する時に大変役立ちます。
フォントの互換性って何気にかなり重要ですよね。
他のフリーソフトなどでは予算の関係上フォントの互換はありませんから、フォント互換性においても WPS Office は優れていると言えますね。
PDF 閲覧ソフト「WPS PDF」が必ず付属している
Windows 10 や 11 の PDF 閲覧は特にアプリを入れていなければ、既定は Microsoft Edge に設定されていて、これが正直なところ使いにくいんですよね。
Edge が使いにくいので無料の Adobe Reader を別途インストールして PDF 閲覧しているユーザーさんが多いのではないかと思います。
WPS Office 2 は、どのパッケージモデルを購入しても必ず「WPS PDF」という PDF 閲覧ソフトが付属しています。
これが結構優秀で「動作が軽くなった Adobe Reader」みたいな使い勝手なんです。
WPS Office 2 をインストールするだけで、とりあえず事務作業に必要なツールはあらかた揃ってしまうので大変便利なのです。
WPS Office 2 が向いているのはこんなユーザー
- ごく一般的な書類(文書)のやりとりが主流
- 簡単な表計算が主流
- 難しい機能は使わない、基本的な機能だけだよ
- お客さんから届く文書が確認できればそれで良い
- ダウンロードした Office 文書が確認できれば良い
- できるだけ安価に Office が使える環境を整えたい
- マクロは利用しない
こんな感じのユーザーが WPS Office を導入するとお得感いっぱいで良いと思います。
少なくとも WPS Office は有料なだけあって、フリーソフトよりも互換性は間違いなく上ですね(あたり前のことかもしれませんが)。
キタムラ
WPS Office は、自営業やフリーランス、工務店など小規模オフィスなどで問題なく活用できるぐらいにはしっかりした互換性を誇っています。
もちろん一般家庭の家計簿付け、自治会や PTA の書類作成などでも大活躍できると思います。普通に純正 Office ファイルとやり取りできるわけですから。
WPS Office 2 はライトに使う分には必要十分だった
実際に WPS Office をしばらく使用してみたところ、「ライトに使う」分には、純正の Office の代替として十分な性能と互換性を備えていることがわかりました。
特に、レイアウトがほとんど崩れない点は大きなメリットです。
ぼくのように、文書のやり取りや請求書・見積書の作成、収益計算の台帳管理など、簡単な作業であれば、まったく問題なく純正 Office の代わりとして活用できます。
シンプルなフォーマット作業が中心であれば、業務利用にも十分対応できるでしょう。
ヤフオクやメルカリなんかで、中古品や違法品に手を出してしまうくらいなら、WPS Office を買ったほうがいろいろコスパが良いんじゃないでしょうか?
WPS Office 2 ぜひ試してみてください!
Word(文書作成)と Excel(表計算)の代わりとなる2つのソフトが含まれた「WPS Office Personal 2026」。
PowerPoint の代わりとなるソフトが含まれた「WPS Office Standard 2026」。
さらに、PDF を編集できるソフトが含まれた「WPS Office 2 Complete 2026」。